- 2009.07.31
- 『世界の人事部』Vol.3
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― 中国・米国・日本の人事労務レポート ―
『世界の人事部』
【Vol.3 2009.7.31】
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発信元:http://919.jp
こんにちは。『世界の人事部』編集部です。
麻生首相が衆議院を解散し、8月30日に総選挙を行うと発表しました。
一般的に首相は、総選挙後、衆議院における最大勢力となる政党の党首が
務め、その他の国務大臣を任命するとのことです。
いわゆる「国の人事」がここで決定するということですね。
もちろん人選に当たっては、これからの日本を創るための人事ですから、
様々な観点から総合的に評価されて決定されるものでしょう。
特に「適材適所」の人材配置を通して会社の発展に貢献している人事・
労務ご担当者の皆様の場合、こうした「国の人事」に関しても興味深く
感じることも多いのではないでしょうか。
「なぜこの人がこのポストに」、「私だったらこの人を」など、
ご自身の見解と現実との違いについての理由を探してみることは、
仕事を離れてできる人事スキルの鍛え方ではないかと思います。
面白そうだと感じられた方は、ぜひ今回の「国の人事」で実践してみては
いかがでしょうか。
□■CONTENTS□■―――――――――――――――――――――――――
【1】 今月の人事労務ニュース
【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第3回】『世界の人事の現場から』
【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
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【1】 今月の人事労務ニュース
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この他にも、中国の最新人事情報を随時更新中!
アクセスはこちらから⇒http://www.919myts.com.cn/topics/
日本国内の最新人材業界ニュースを毎日更新中!
こちらから⇒http://jinjibu.jp/GuestNewsTop.php
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【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第3回】『世界の人事の現場から』
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人事や人材に関するテーマは、日本人だけの会社でも難しい経営課題の
一つです。それが日本から海外に赴任して会社や事務所を構えて、
さらに現地の人材を採用して、育成、マネジメント…となると、
その苦労は国内の比ではないと思われます。
そこで『世界の人事部』では、毎回、実際に中国、アメリカで活躍中の
人事・採用コンサルタントに人事労務などに関する質問をぶつけて、
現地における人事・労務・採用課題解決のヒントを提供してまいります。
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【第3回テーマ】
「日本式でも大丈夫!? 現地スタッフの人事評価について」
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◇編集部◇
6月末から7月半ばといえば夏のボーナスの時期でしたね。
各スタッフの支給額を決める過程では「人事評価」が行われる
ケースが一般的です。今回はこの人事評価について、日本人管理者が
アメリカや中国の現地スタッフの評価を行う際に配慮すべき点などを
うかがっていきたいと思います。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
アメリカでは「客観的な尺度から、公平・論理的に査定する」ことが
とても大切です。極端な話、誰が行ってもその結果にたどり着く人事
評価を行うことを強く意識する必要があります。
これはアメリカにおいて人事評価は「報酬査定」以外にも、雇用差別
訴訟など際の「法的対処」の証拠としての側面を持っているからです。
訴訟の証拠になるような重要な資料が曖昧な基準で作成されていては、
証拠能力にも欠けてしまいますからね。
公正さを保つためにも評価者以外のレビューを行いますし、日本では
あまり考えられませんが、被評価者が求めれば評価結果をレビュー
させるケースもあります。その上で、被評価者に評価結果の説明を
受けたというサインをさせ、双方が合意した証拠を残しておきます。
◇編集部◇
日本人が現地スタッフを評価する場合、従来の日本的な「勤務態度」、
「人柄」、「頑張り」などを評価に盛り込むケースが、慣れも含めて
数多くあるのではと思うのですが、やはり問題が生じてしまいますか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
主観的な評価は公平性、論理性が低くなりがちですから、本人に加え
他のスタッフから不満が生じるほか、業務に対するモチベーションも
下がり、結果的に職場としての生産性が下がってしまいます。
また、先の「法的対処」の証拠としても信憑性が問われます。
そのためにも評価項目はできる限り数値化、明確化できるものを用い、
主観的判断を要する項目は切り捨てる位の意識が必要かもしれません。
◇編集部◇
確かに、評価基準が数値化されれば目標もハッキリしますから、
仕事に対するヤル気も出ますし、公平性の点でも説得力がありますね。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
こうした評価基準の形の一つに「SMART Goal」というものがあります。
これはSpecific(具体的)、Measurable(測定可能な)、
Achievable(達成可能な)、Related(関連性のある)、
Time-bound(時間的な制約)の上で評価基準を作成する方法です。
またアメリカには「360°フィードバック」という方法もあります。
これは被評価者を取り巻く上司や部下、同僚、顧客、取引先など
360°全方位から評価を行う方法です。公平性や客観性が高い評価
方法として、個人的には「法的証拠」にもなる方法だと思います。
日本でもこの方法を取り入れている企業はあります。ただ連帯意識の
強い国民性や企業風土の中で、まして他人の給与や昇進などに直結
する評価について冷静に判断することになりますから、現実的には
なかなか浸透しづらい点も多いと思います。
やはり多人種、多文化、自己主張の強さがあるアメリカでこその
評価方法かもしれませんね。
◇編集部◇
一方、中国においては現地スタッフの人事評価を行う上で、
どのような点に配慮する必要性がありますか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
アメリカほど徹底はしてはいませんが、やはり中国においても
「明確」かつ「分かりやすい」評価基準をベースにした人事評価が
受け入れられる傾向にあると感じます。
むしろ、日本的な感覚でスタッフ間にそれほど差をつけない、
平均的な評価を行うと、逆に「差がつかないこと」に対する不満が
現地スタッフの間には溜まっていくのではないかと思います。
もちろん、自分に対して否定的な評価を受けたことで反発してくる
現地スタッフもいます。しかし、それ以上に彼らが不満を感じるのは、
「何を、どうすれば評価される(給与が上がる)のか」が分からない
評価体制そのものにあるケースが多いと思います。
中でもホワイトカラー層は、こうした傾向が強いと感じます。
◇編集部◇
だからこそ、「明確」で「分かりやすい」基準が必要なのですね。
むしろ、日本人の管理者はスタッフ間の評価に差がつくことに対して
必要以上にナーバスになることはないということでしょうか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
そもそも中国は非常に格差の激しい社会ですし、世代間でも物の
考え方に大きなギャップがあります。こうした現地の人材が集まった
組織における人事評価では、「全員が納得する評価はできない」
という位の、多少の図太さは持っていてもいいかもしれません。
ただ、「納得」してもらえなくても「理解」はしてもらう。
そのために「明確」な評価基準があると考えればいいと思います。
◇編集部◇
とはいえ、管理者としては評価することがゴールではなく、それを
もとにスタッフを指導・育成することも重要な役割です。
そのためにも評価後のスタッフのケアはとても大切になってきますね。
◆人事コンサルタント(中国)◆
その通りです。人事評価は報酬査定という側面がクローズアップされ
がちですが、同時にスタッフの育成やヤル気をアップさせる大切な
きっかけ、タイミングでもあります。
そのためにも、スタッフとの日頃からのコミュニケーションや仕事の
指示・評価を通じて、評価の時点からの本人の「成長」を実感させて
あげることです。成長が実感できれば自信が付き、
仕事へのモチベーションも自然と高まってくるはずです。
スタッフが成長し、彼らが高いモチベーションを持って働けば、
当然会社としても成長するでしょうから、結果的に管理者の方の
評価も上がるということになりますね(笑)。
そんな職場を作るためにも「差」を付けることを恐れるのではなく、
その理由を「うやむや」にしてしまわないように気をつけましょう。
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【3】人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
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