- 2009.08.31
- 『世界の人事部』Vol.4
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― 中国・米国・日本の人事労務レポート ―
『世界の人事部』
【Vol.4 2009.8.31】
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発信元:http://919.jp
こんにちは。『世界の人事部』編集部です。
8/21に厚生労働省から、新型インフルエンザが全国的に流行期に入った
と発表がありました。既に新学期に入っている地域では休校や学級閉鎖
の措置を取る学校が相次ぐなど、教育現場にも影響が出始めています。
この新型インフルエンザ、春はゴールデンウィーク、さらに秋はシルバー
ウィーク(9/19~9/23)と呼ばれる大型連休を直撃です。
小売業やサービス業など大きく影響を受ける業種・業界も多いでしょう。
しかし、春の経験を活かして次の流行期を想定して危機管理を進めてきた
企業は、被害を最小限に食い止めることができるのではないでしょうか。
こうした先を見据えて企業が被るリスクを軽減させる施策を、
常に考えることが経営者や人事部には求められているということを、
新型インフルエンザ問題は改めて私たちに問いかけていると感じました。
□■CONTENTS□■―――――――――――――――――――――――――
【1】 今月の人事労務ニュース
【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第4回】『世界の人事の現場から』
【3】 編集部オススメの商品・サービスはこちら!
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【1】 今月の人事労務ニュース
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【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第4回】『世界の人事の現場から』
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人事や人材に関するテーマは、日本人だけの会社でも難しい経営課題の
一つです。それが日本から海外に赴任して会社や事務所を構えて、
さらに現地の人材を採用して、育成、マネジメント…となると、
その苦労は国内の比ではないと思われます。
そこで『世界の人事部』では、毎回、実際に中国、アメリカで活躍中の
人事・採用コンサルタントに人事労務などに関する質問をぶつけて、
現地における人事・労務・採用課題解決のヒントを提供してまいります。
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【第4回テーマ】
「何が違う? 中国・アメリカの新卒採用事情」
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◇編集部◇
10月の大手就職サイトのグランドオープンを皮切りに、日本国内では
2011年3月卒業予定の学生を対象に新卒採用活動がスタートします。
この新卒採用について、やはり国が違えば学生、企業ともに考え方や
スタンスも違ってくると思うのですが、実際のところはいかがですか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
中国における新卒採用ですが、日本のような
「採用の中心的なイベント」といった位置づけではありません。
これは中国という国が「労働契約制」の社会だということに
深く関係しています。
誤解を恐れずに簡単に言いますと、「労働契約制」とは、
企業と社員が有期限の雇用契約を交わすことです。
つまり契約期間がある=「辞める」ことが前提となっているのが
中国の雇用の現状です。
こうした理由に加えて新卒はなかなか即戦力にはなり得ないことも
あるため、中国では中途採用が雇用の中心になっています。
◇編集部◇
確かに、現在は多少事情が変化してきているとはいえ、
日本の定年退職制度的な考え方がないと欠員数も予測しづらいため、
こまめな中途採用が主流になるのもうなずけますね。
では、そうした環境の中、中国の学生はどのような形で就職活動を
行っているのですか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
中国の学校は基本的に7月が卒業式、8月が夏休み、9月が新学期です。
就職を目指す学生は4年生直前の夏休みから「インターンシップ」先
を探すことが、中国では一般的な就職活動のスタートとなります。
とはいえ、この9月に中国全土で新たに4年生になるのは約600万人。
さらに昨年就職できなかった人材が約200万人いるとのことですから、
実際には約800万人のライバル達と競争しなければなりません。
インターンシップ先を探すにもコネを使うなど苦労は多いようです。
無事にインターンシップ先を確保できた学生は、就業経験を積み、
卒業前に本人と企業、そして学校を交えた三者間で内定の契約を
締結し、晴れて就職活動が終了ということになります。
◇編集部◇
日本では質の高い学生を採用しようと、採用スケジュールの策定、
説明会、内定後のフォローアップまで、各企業の人事担当者が知恵を
絞って様々な取り組みを行っています。これに対して中国の企業側の
取り組みはいかがでしょうか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
日本の新卒採用対象となる学生は概ね40~50万人。これに対して、
中国は約800万人ですから市場としては完全に買い手市場です。
そのため、基本的には手厚いフォローアップなどはありません。
とはいえ、ハイレベルな学校の情報処理系学部を初めとした優秀な
学生に対しては、学生が2年生の時からアルバイトとして高待遇で
採用するなど、企業側が囲い込みを行っているケースが一部では
あるようです。
一方で、その他文系学部の学生の就職は非常に難しく、若年層の
失業問題が深刻な社会問題にまで発展するなど、学部や学生による
就職格差はますます拡大していると言わざるを得ません。
◇編集部◇
一方、アメリカの企業の新卒採用に対するスタンスはいかがですか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
アメリカの企業においても中国と同様に、多くの場合は新卒採用では
なく中途採用が雇用の中心になっています。
背景としては、6月や12月が多いものの学生の卒業月が不定期なこと、
定年退職制度がなく、転職する人材も多く時期もまちまちなので、
欠員を補充するタイミングが予測しづらいことなどが挙げられます。
また、アメリカでは「即戦力」であることが採用の前提であるケース
が大半です。学校内でジョブフェアなどを開催して学生を募る企業も
ありますが、実務経験のない新卒者を手厚く迎え入れたり、入社後の
研修やトレーニングを充実させて人材を育成することなどはまずあり
ません。
◇編集部◇
では、学内で行われるジョブフェアへ企業が出展するのは、在学中に
インターンシップを通して就業経験を積みたいという学生を集める
ためですか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
結果的にはそのように映るかもしれません。しかし学生側からすると、
即戦力が求められる正社員のポジションを獲得するに当たって、
実務経験が積めるインターンシップの募集は大きなチャンス。
自分を売り込む機会を企業が提供してくれているということでは、
企業と学生の間にギブ&テイクの関係が成立しているとも言えます。
◇編集部◇
また、アメリカでも中国と同様に大学や学部と就職は強い関連性を
持っているのですか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
学部と就職は直結しているほか、大学のランクや在学中の成績なども
採用に際しては考慮されます。そのため、アメリカの学生は就職を
前提に学部を選び勉強しています。
裏を返せば学部選びの時点から就職活動がスタートしているとも言え
ますから、かなり早い段階から「就職」、或いは「働く」というもの
を意識していることになりますね。
◇編集部◇
これら両国の背景を踏まえた上で、現地で新卒採用を行おうとした
場合、人事担当者が予め配慮すべき点などはありますか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
海外に展開している企業については、既に日本でも人員やコストを
かけて新卒採用活動を行っているケースがほとんどです。
それに加えて、あえて現地でも新卒採用を行うのであれば、
第三者が納得できる合理的な理由が必要になるかと思います。
その理由とは、「会社として実現したいこと」であり、そのためには
どんな人材が必要かを検討した結果、現地で新卒採用を行うことが
最適だったというレベルにまでプロジェクトを煮詰めるべきでしょう。
また、両国ともに転職に対する抵抗感が薄いお国柄です。育った頃に
辞めてしまう、或いは他社に引き抜かれてしまうことのないよう、
技術や実績に加えて、価値観や仕事観などについても、日本国内での
新卒採用以上に明確なラインを決めておいた方が良いでしょう。
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