メールマガジン

2011.02.28
『世界の人事部』Vol.22【中国・アメリカ企業における人材流出リスクへの対応とは?】
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       ― 中国・米国・日本の人事労務レポート ―
             『世界の人事部』
                        【Vol.22 2011.2.28】
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  発信元:http://919.jp

 こんにちは。『世界の人事部』編集部です。
 先日、大手就職サイト運営会社が、2012年3月卒業予定の大学生を対象に
 行った就職企業人気調査の結果を発表しました。文系・理系の違いはある
 ものの、上位10社中8~9社が昨年と同じ顔ぶれで、企業選択のポイントも、
 景気に関わらず安定していることや業界上位であることを重視する傾向が
 強いとのこと。その一方で、中小企業や知名度の低い企業などは、景況の
 回復に伴い新卒採用に着手するものの、思い通りに学生が集まらない現状
 があるなど、両者のニーズに乖離があるようです。

 こうした中、厚生労働省、文部科学省、経済産業省の3大臣が連名で、
 主要経済団体等247団体に対して、2012年3月卒業予定者の採用枠拡大など
 を要請したとのことですが、受け皿側へのプッシュだけでは、なかなか雇
 用状況の改善は難しいのではと思います。そのためにも職業を選択する側
 へのプッシュについて、産学官のさらなる協力が必要ではないかと考えて
 います。

 それでは、今月も情報満載でお届けしてまいります!
 ぜひ、最後までご覧下さい。

 □■CONTENTS□■―――――――――――――――――――――――――
 
 【1】 今月の人事労務ニュース

 【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
     【連載:第22回】『世界の人事の現場から』

 【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報

 【4】 編集部オススメの商品・サービスはこちら!

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 【1】 今月の人事労務ニュース
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 中国、アメリカ、日本国内の人事、労務、採用、育成などに関するニュー
 スを見出し形式でご紹介。

 より詳しい情報が知りたい方は、下記サイトまでアクセス!

 ◇<中国>   人民網-人民日報によると、
         従業員平均賃金が最も高い業界は金融業界とのこと
 ◇<中国>   東方網によると、上海市の都市住民家庭一人当たりの
         年間可処分所得は31,838元と、前年比10.8%増に
 ◇<アメリカ> QUICK USA, INC.が、3月2日、16日、30日の3日間、
         アメリカでの就職、転職を考える方に向け、
         無料「登録・相談会」を開催

 この他にも、中国の最新人事情報を随時更新中! 
 アクセスはこちらから⇒http://www.919myts.com.cn/topics/

 アメリカ国内の最新求人情報を随時更新中
 アクセスはこちらから⇒http://www.919usa.com/

 日本国内の最新人材業界ニュースを毎日更新中!
 アクセスはこちらから⇒http://jinjibu.jp/GuestNewsTop.php


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 【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。  
       【連載:第22回】『世界の人事の現場から』
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 人事や人材に関するテーマは、日本人だけの会社でも難しい経営課題の
 一つです。それが日本から海外に赴任して会社や事務所を構えて、
 さらに現地の人材を採用して、育成、マネジメント…となると、
 その苦労は国内の比ではないと思われます。

 そこで『世界の人事部』では、毎回、実際に中国、アメリカで活躍中の
 人事・採用コンサルタントに人事労務などに関する質問をぶつけて、
 現地における人事・労務・採用課題解決のヒントを提供してまいります。
 
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 【第22回テーマ】
 「現地人事コンサルタントに聞く
  中国・アメリカ企業における人材流出リスクへの対応とは?」
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 ◇編集部◇
  今回のテーマは、企業における人材流出リスクへの対応について取り上
  げたいと思います。

  最近では、経済成長の続く中国において優秀な人材へのヘッドハンティ
  ングが盛んになってきたという話をよく見聞きしますし、好景気という
  環境も転職に踏み切りやすいタイミングなのかもしれません。一方で、
  アメリカ社会はそもそも転職が一般的なお国柄。

  とはいえ、企業サイドとして人材の流出は、それが優秀な人材であれば
  ある程大きな問題です。しかし実際のところ、今のアメリカや中国は本
  当に転職に踏み切りやすい環境と言えるのでしょうか。

 ◇人事コンサルタント(アメリカ)◇
  転職が一般的というイメージが浸透しているアメリカの現状は、失業率
  が依然として9%台と高止まりしているほか、金融機関の業績は回復傾
  向にあるものの、それ以外の業種・業界の景気回復に時間がかかってい
  ます。昨年11月から実施されているQE2(量的金融緩和第2弾)など前
  向きな材料はあるものの、全体的な印象としては景気の先行きは不透明
  な状況です。また、転職をすることで、以前の職場よりも条件が良くな
  るような求人案件も少なく、こうした背景を踏まえると、今のアメリカ
  は転職に踏み切りやすい環境とは言えないと思います。

 ◇人事コンサルタント(中国)
  逆に、経済環境を含め、今の中国は転職に踏み切りやすい環境と言える
  でしょう。

  このメルマガでも何度かお話ししましたが、中国における労働者との
  雇用契約は、短期の年限を定めた有期契約が前提となっているケースが
  多数を占めています。契約期間が満了するまで勤め上げれば、労働者は
  会社との契約を果たしたことになります。その上で、勤務先に留まる
  メリットが感じられればそこに留まるでしょうし、メリットを感じなけ
  れば期間満了のタイミングに向けて次の職場を探すというのは、ごく自
  然なアクションです。

  長く終身雇用制度が敷かれていた日本では、転職に挫折や裏切りといっ
  たマイナスイメージが根深く残っている部分もあるかと思いますが、
  上記のような理由から、中国ではそうした転職に対するマイナスイメー
  ジは、まずありません。むしろ、契約をきちんと果たしている上に、
  メリットを感じていない状況・職場から動き出そうとしない、転職に
  チャレンジしようとしない人材は、逆に挑戦する勇気や行動力が足りな
  いというイメージを与える可能性があるのではないかとさえ感じること
  があります。

 ◇編集部◇
  では、実際に転職を考えている人たちは、今の勤務先のどこに不満や不
  安を感じているケースが多いですか。

 ◇人事コンサルタント(アメリカ)◇
  アメリカでは、転職を通してスキルアップし、昇給するという社会風土
  が根付いていることもあり、やはり今の職場に給与や待遇に不満を感じ
  て、つまり給与アップを目指して転職に踏み切ろうとするケースが大多
  数ですね。

  ただ、それ以外にも社内の雰囲気や風通し、コミュニケーションの悪さ
  など、人間関係を理由に転職を考える人も多いですね。

 ◇人事コンサルタント(中国)◇
  中国もアメリカと同じく、給与・待遇面や人間関係に不満や不安を感じ
  て転職を考えるケースが大多数だと感じます。例えば、日系企業によく
  見られるケースですが、自分一人が頑張っても、会社や職場全体の結果
  に基づいた人事評価や昇給であるため納得できる評価が得られない場合
  などです。また、「頑張ればどんどん昇給する」と言われ続けているも
  のの、過去それを実現した人間が社内にいないといった「昇給に関する
  信憑性が薄い場合」や、今3万円の給与が10万円になるだけでも20年か
  かるといった「昇給ペースに不満がある場合」なども考えられます。
  また、人間関係という面では、信頼していた上司や総経理が変わってし
  まった場合なども、転職に踏み切るきっかけになるようです。

 ◇編集部◇
  一方、こうした転職希望者が抱える不満や不安に対して、優秀な人材の
  流出は避けたいと考える企業側の取り組みとしてはどのようなものがあ
  るのでしょうか。また、人事コンサルタントの視点から、人材流出リス
  クを軽減するための取り組みについてのアイデアがあれば、ぜひお願い
  します。

 ◇人事コンサルタント(アメリカ)◇
  転職のきっかけとなる給与面のケアに関しては、従来からある会社の評
  価方法に固執せず、外部委託などを活用し、第三者の意見や視点を参考
  にした適正な評価方法を導入することで、優秀な人材の社外流出を防ご
  うとしているというケースがあります。また、給与以外でもベネフィット
  (福利厚生)を充実させたり、社内カウンセラーを置くなどの職場環境
  の改善に配慮したりする企業もあります。また、レクリエーションや
  パーティなどを数多く開催することで、人間関係の構築や社員間のコミ
  ュニケーション強化を図るというケースもあります。

  アメリカでは、スタッフの会社に対するロイヤリティは日本に比べると
  低いかもしれませんが、一方でスタッフ同士の結び付きは非常に強いも
  のがあります。そのため、マネジャーが部下一同を引き連れてライバル
  会社に転職したり、大企業のトップがライバル会社のトップに移るとい
  うこともよくある話です。日本からアメリカへ進出して、現地スタッフ
  を中心に事業を進めるなら、こうしたリスクに対しても日本以上に留意
  しておかなければ後で大変なことになる可能性があると思います。

 ◇人事コンサルタント(中国)◇
  一般的な日系企業については忘年会や新年会、社員旅行、少しばかりの
  福利厚生はあるものの、人材流出リスクに対するケアが充実していると
  は言い難いというのが正直な印象です。こうしたケースの大半が人材流
  出に関する原因を職場ではなく、転職していく人材、つまりは現地スタ
  ッフに求める傾向にあると感じています。

  一方、「一般的ではない」日系企業では、スタッフの育成に前向きに取
  り組み、社員を大切にする施策を積極的に行い、一人ひとりの仕事の結
  果に対する公平な評価や処遇を行ったり、或いは膝を突き合わせて夢を
  語ったりしています。

  さらに中国系企業では、高級管理職に運転手付きの車両を貸与したり、
  住宅を付与したり、教育費を会社負担したり、賞与を年に20ヵ月分支給
  したり、旅行に連れて行ったり、表彰したりなどの取り組みを行ってい
  るようです。

  もちろん、会社の規模や業績に応じて程度の差はありますが、今回の
  テーマにあるような人材流出リスクをうまく回避できている企業に共通
  しているのは、国籍や雇用形態などにかかわらず、会社を支えるスタッ
  フみんなを大切にしているということ。もっと生活を楽にさせてあげた
  い、食事だけは満足に食べさせてあげたい、当社に入って良かったと思
  わせてやりたいなどの、経営者の熱い想いが必ずあります。そうした想
  いや取り組みの積み重ねにスタッフも応え、結果的に優秀な人材が社内
  に残り、経営に大きな影響を与えるような人材流出リスクの回避につな
  がるかと思います。

  また、日本人が体験したことのない大きな「格差社会」の存在に対する
  理解を深める努力をすることも、現地スタッフと向き合う上ではとても
  大切な取り組みです。平均給与のデータが3,000元(4万円弱)だから
  中流階級、という理解ではいけません。経済成長に伴って物価もどんど
  ん上昇しています。むしろ、平均給与3,000元ではまだまだ生活に余裕
  はありません。まして、最低賃金に近い給与で働いているワーカーさん
  たちは、衣食住さえままならない状況です。こうした背景を踏まえると、
  彼らが待遇改善を求めて一度に会社を去ってしまうことも十分考えられ
  るわけです。だからこそ人材流出リスクへの対応を考える際には、愛社
  精神だけを頼りに、こうした現実から目を背けようとする姿勢は避ける
  べきだと思います。

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       (東京都港区赤坂1-9-20 第16興和ビル北館8階)
  ◇参加料 無料
       ※懇親会費:お1人1,500円
  ◇対象  経営者の方、営業責任者の方
       (1社2名でご参加下さい)
  ◇定員  10社20名

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