- 2011.03.31
- 『世界の人事部』Vol.23【現地日系企業が抱えがちな人事・労務課題とは!?】
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― 中国・米国・日本の人事労務レポート ―
『世界の人事部』
【Vol.23 2011.3.31】
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発信元:http://919.jp
こんにちは。『世界の人事部』編集部です。
3月11日(金)に発生した「東北地方太平洋沖地震」により、
被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
皆様の安全と、被災地の一日も早い復興を心よりお祈りいたします。
現地は今なお余震や原発事故による影響等、様々な問題に直面しています。
こうした中、今ほど、不安を抱えるスタッフを支え、前へ進もうとする
背中を後押ししてくれる、「本物のリーダーシップ」が求められる時はな
いでしょう。
そして、被災を免れた地域の皆さんは、現地の復興に支障が出ない方法で、
今、自分たちにできることを、心を一つにして、始めることが大切なので
はないかと感じています。
がんばろう!日本。
□■CONTENTS□■―――――――――――――――――――――――――
【1】 今月の人事労務ニュース
【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第23回】『世界の人事の現場から』
【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
【4】 編集部オススメの商品・サービスはこちら!
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【1】 今月の人事労務ニュース
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中国、アメリカ、日本国内の人事、労務、採用、育成などに関するニュー
スを見出し形式でご紹介。
より詳しい情報が知りたい方は、下記サイトまでアクセス!
◇<中国> 羊城晩報によると、深センの最低賃金基準が
昨年の1,100元/月から1,320元/月へと20%上昇
◇<中国> 上海クイックマイツ有限公司が、
全中国日系企業勤務の2万人超の給与明細データを集計した
「給与調査報告書 2011」を発行
給与調査報告書 2011に関するお問い合わせ先
info@919myts.com.cn
◇<日本> 株式会社アイ・キューが5月24日(火)、25日(水)の両日、
「日本の人事部主催 HRカンファレンス 2011」を開催
HRカンファレンス開催概要
http://jinjibu.jp/hrc07/
この他にも、中国の最新人事情報を随時更新中!
アクセスはこちらから⇒http://www.919myts.com.cn/topics/
アメリカ国内の最新求人情報を随時更新中
アクセスはこちらから⇒http://www.919usa.com/
日本国内の最新人材業界ニュースを毎日更新中!
アクセスはこちらから⇒http://jinjibu.jp/GuestNewsTop.php
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【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
【連載:第23回】『世界の人事の現場から』
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人事や人材に関するテーマは、日本人だけの会社でも難しい経営課題の
一つです。それが日本から海外に赴任して会社や事務所を構えて、
さらに現地の人材を採用して、育成、マネジメント…となると、
その苦労は国内の比ではないと思われます。
そこで『世界の人事部』では、毎回、実際に中国、アメリカで活躍中の
人事・採用コンサルタントに人事労務などに関する質問をぶつけて、
現地における人事・労務・採用課題解決のヒントを提供してまいります。
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【第23回テーマ】
「現地人事コンサルタントに聞く!
現地日系企業が抱えがちな人事・労務課題とは!?」
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◇編集部◇
日本国内では、業績の改善に伴って給与や教育、職場や組織の見直し等、
各種人事労務に関する課題解決に取り組む企業が徐々に増えてきている
ようです。一方で、経済成長著しい中国では、企業の成長に社内体制が
追いつかないという理由から、人事労務の問題に悩む現地日系企業も多
いのではないでしょうか。
そこで今回は、現地日系企業が抱える代表的な人事労務課題や最近のト
レンドを、企業からの相談内容をうかがうことで探っていきたいと思い
ます。
実際に中国、アメリカにおいて、人事労務に関する相談にはどのような
ものが多いですか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
昨年を振り返ってみると、まず「給与の適正水準」についての相談が最
も多かったと感じます。次に「ストライキや労務紛争の予防策」につい
ての相談、そして「社内の人事制度の設計」に関する相談の順でしょうか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
アメリカでは「解雇」に関する相談や「ダイバーシティ・マネジメント」
についての相談が最近増加傾向にあるほか、慢性的なものとして「社内
規程の作成」についての相談が数多く寄せられていますね。
◇編集部◇
これらの相談が数多く寄せられる理由や背景については、どのようにお
考えですか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
「給与の適正水準」や「ストライキや労務紛争の予防策」についての相
談は、昨年5月頃から頻発したストライキ騒動が最大の理由です。確かに、
以前から「給与の一般的な相場」についての相談は非常に多かったので
すが、こうした事態に陥って、その傾向に拍車がかかりました。とはい
え、現地コンサルタントとしては、この相談に対する回答が最も難しい
と感じています。
なぜなら、多くの日系企業はスタッフの給与に関して、自社と他社との
間に大きな差がなければ安心してしまいがちだからです。
しかし、これは「最低賃金」=「最低限の生活が確保できる賃金水準」
というケースでのみ通用する話です。現時点の中国では、この基準が全
く異なります。個人的には、「最低賃金」=「最低限生きていける、仕
事ができるカロリーを確保するために必要な賃金水準」と考えても良い
と思うほどです。ですから、「給与の一般的な相場」という数値情報だ
けを示しても、企業が抱える人事労務課題の本質的な解決には至りませ
ん。大切なのは、一般的な給与相場の情報を活かして何をするのかとい
う「目的」を明確にした上で、情報収集や対応策を検討することだと思
っています。
◇編集部◇
コンサルタントに相談する上でも、最終的な目的を明確化させるととも
に、はじき出された数値情報と現実との間にギャップが存在するケース
も数多くあるという事実を念頭に置いておく必要があるということですね。
◆人事コンサルタント(中国)◆
また、「社内の人事制度の設計」に関しては、経済成長に後押しされて
拡大してきた組織が混乱したためというケースや、前時代的事業が頭打
ちしたため組織の再構築を迫られたためというケースが多いと思います。
いずれにしても、現状の組織が、急激な環境の変改に対応し切れていな
いことが背景にあるかと思います。こうしたケースは特に設立10年未満
の企業に、近年多く見られるようになってきました。
◇編集部◇
一方、アメリカの方はいかがでしょうか。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
「解雇」に関する相談が多かった要因としては、やはりリーマン・ショ
ック後の不況で業務縮小や撤退が相次いだことが考えられます。ただ、
スタッフの解雇は労働訴訟のリスクが高いため、各企業とも自社内で処
理を進めるのではなく、人事労務コンサルタントや弁護士に相談をしな
がら話を進めていくという、契約社会アメリカならではの背景も関係し
ているでしょう。
また、「ダイバーシティ・マネジメント」に関する相談については、近
年の外国人の就労ビザ取得が難しくなってきたという背景が影響してい
ると考えます。これにより、日本人がアメリカでの労働ビザを取得でき
ないという状況が生じ、現地日系企業としても日本人雇用を前提とした
組織からアメリカ人やアメリカ永住権取得者の雇用を中心とした組織へ
の変化を余儀なくされつつあります。さらに、人種の多いアメリカだけ
に、新しい組織にも様々なバックボーンを持ったスタッフが存在し、彼
らをうまくマネジメントしなければ組織として正しい方向に進むことは
できません。言葉や文化の違いから問題が起こることも日常茶飯事。
指示の出し方一つを取ってみても、「暗黙の了解」といった日本ならで
はの価値観も機能しません。それだけに、多様性のある組織をうまく運
営していくための「ダイバーシティ・マネジメント」に関する相談は、
今後ますます重要性を増してくるはずです。
最後に「社内規程の作成」についてですが、これについては慢性的に
ニーズの高い相談内容です。しかも、先にお話しました組織のダイバー
シティ化に伴い、これまでは日本人だけだった職場の多国籍化が進行し
てきたことで、これまで以上に明確で細かな社内規程が必要とされてき
たという背景が考えられます。
◇編集部◇
また、最近になって増えてきた、或いは今年増えそうな人事労務に関す
る相談内容としては、どのようなものがあると思われますか。
◆人事コンサルタント(中国)◆
中国につきましては、物価上昇や人件費の高騰、組織制度の乱れ、中国
政府の方針変更、新法規等により、「例年を踏襲する」方法では対応し
きれない、新しい環境の変化が原因となった問題に関する相談は増加す
るのではないかと思います。これらへの対応が遅れれば、昨年同様にス
トライキへと発展することも十分に考えられることを踏まえると、私た
ちコンサルタントに求められる対応も緊急度、重要度、深刻さのどれを
とっても昨年を上回るものになると思っています。
◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
アメリカにおいては、就労ビザ取得が困難化してきている状況を考える
と、今後も企業のダイバーシティ化に関連する相談が増えてくると思い
ます。例えば、組織を日本人雇用から現地化へとスムーズにシフトする
ための相談や、社内規程についても、日本人特有の曖昧さを排除し、明
確化、細分化された現地スタッフ仕様にするための相談が今後ますます
増えてくると思います。
その意味では、昨年と今年と比べて企業からの人事労務問題に関する相
談内容については大きな変化はないと言えるかもしれません。ただ、求
められる回答のスピードやクオリティの高さについては、中国同様、昨
年以上のものが求められるのではないかと感じています。
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