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2011.04.28
『世界の人事部』Vol.24【現地日系企業の大規模災害への対応について】
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       ― 中国・米国・日本の人事労務レポート ―
             『世界の人事部』
                        【Vol.24 2011.4.28】
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  発信元:http://919.jp

 こんにちは。『世界の人事部』編集部です。

 新年度がスタートしてちょうど1ヶ月。この4月に新社会人としてスタート
 を切った新入社員の方々も、ようやくペースを掴み始める頃だと思います。

 しかし、今年の場合は東日本大震災の影響により、入社式や新入社員研修
 の実施を見合わせる企業もある等、例年とは雰囲気の異なる新生活のスタ
 ートに不安や戸惑いを感じている新入社員も多いのではと感じています。
 一方で、大型連休を迎えるこの時期は、今の仕事や境遇、イメージと現実
 のギャップ等について改めて考える人が出始めるタイミングです。
 それだけに、人事ご担当の方々は、例年以上に新入社員のケアに対する配
 慮の重要性が高まるのではないでしょうか。

 それでは、今月も情報満載でお届けしてまいります!
 ぜひ、最後までご覧下さい。

 □■CONTENTS□■―――――――――――――――――――――――――
 
 【1】 今月の人事労務ニュース

 【2】 現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。
     【連載:第24回】『世界の人事の現場から』

 【3】 人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報

 【4】 編集部オススメの商品・サービスはこちら!

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 【1】 今月の人事労務ニュース
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 中国、アメリカ、日本国内の人事、労務、採用、育成などに関するニュー
 スを見出し形式でご紹介。

 より詳しい情報が知りたい方は、下記サイトまでアクセス!

 <中国>  北京晩報によると、「2011北京社会藍皮書」によると、
       北京市の一般従業員の7割は年収3万元未満

 <中国>  中人網によると、個人所得税の所得控除額が
       2,000元/月から3,000元/月へ引き上げの可能性ありとのこと

 <日本>  株式会社アイ・キューが、5月24日(火)、25日(水)の両日、
       「日本の人事部主催 HRカンファレンス 2011」を開催
       ■HRカンファレンス開催概要
        http://jinjibu.jp/hrc07/

 この他にも、中国の最新人事情報を随時更新中! 
 アクセスはこちらから⇒http://www.919myts.com.cn/topics/

 アメリカ国内の最新求人情報を随時更新中
 アクセスはこちらから⇒http://www.919usa.com/

 日本国内の最新人材業界ニュースを毎日更新中!
 アクセスはこちらから⇒http://jinjibu.jp/GuestNewsTop.php


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 【2】現地のことは現地に聞け!人事労務問題解決のポイントを紹介。  
       【連載:第24回】『世界の人事の現場から』
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 人事や人材に関するテーマは、日本人だけの会社でも難しい経営課題の
 一つです。それが日本から海外に赴任して会社や事務所を構えて、
 さらに現地の人材を採用して、育成、マネジメント…となると、
 その苦労は国内の比ではないと思われます。

 そこで『世界の人事部』では、毎回、実際に中国、アメリカで活躍中の
 人事・採用コンサルタントに人事労務などに関する質問をぶつけて、
 現地における人事・労務・採用課題解決のヒントを提供してまいります。
 
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 【第24回テーマ】
 「現地日系企業の大規模災害への対応について」
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 ◇編集部◇
  3月11日に発生しました東日本大震災による直接的な被害、さらには製
  造業においては命綱とも言える部品供給経路等の断絶、さらには原発
  問題も重なり、日本経済は大きな混乱に陥りました。

  しかし、今回のような大規模災害は、いつどこで発生してもおかしくあ
  りません。さらに、自然災害だけでなく、テロや暴動などもいつどこで
  起きてもおかしくないものですし、原発の問題も決して日本だけの問題
  ではありません。

  そこで今回は、中国、アメリカの現地日系企業おける大規模災害への
  リスクマネジメントや備えなどについておうかがいしたいと思います。
  今回の震災の前後で、こうした災害に対する現地日系企業の意識や対応
  に何か変化を感じられるケースはありましたか。

 ◆人事コンサルタント(中国)◆
  確かに、中国においては2003年にSARS、2005年に反日デモ、2008年に四
  川大地震、そして昨年は鳥インフルエンザと、ここ最近は企業のリスク
  マネジメントを意識させられる事態が頻発しています。

  ただ、次に同じような事態に発生してもリスク回避できるような具体的
  な備えを各社が行っているかといえば、一部の大手企業を除いて、多く
  の企業では「NO」という回答になるのではないでしょうか。とはいえ、
  現場ではより緊急で重要な対処すべき事態が矢継ぎ早に発生している現
  実があります。よって、こうしたリスクに対する備えの必要性は十分認
  識しながらも優先順位が後回しになり、結果、今でも手付かずというの
  が正直なところだと思います。

 ◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
  アメリカでは、今回のように本社、つまり日本が被災した場合、本社
  サイドの人的、通信、指示命令系統が大きく混乱しているわけですから、
  現地としても業務を進める上で、これらを整備する必要が生じたところ
  が多かったようです。とはいえ今回、現地が被災した際のリスクマネジ
  メントやスタッフへの対応について改めて見直しを行ったという企業は、
  私の知りうる範囲ではなかったと感じます。実際のところ、今回の震災
  を受けて現地日系企業から、リスクマネジメントの一環として災害に対
  する備えに関する相談等もまだありません。

 ◆人事コンサルタント(中国)◆
  中国でも、そうした相談はまだありません。昨年の鳥インフルエンザの
  際、駐在日本人スタッフの対処方法に関する相談は数件ありましたが、
  それらは日本の本社サイドを通じての相談で、現地サイドがリスクマネ
  ジメントに対する意識を持って積極的に動いたというものではありませ
  んでした。

 ◇編集部◇
  では、これまで実際に、現地が大きな被害を受けるような事態に陥った
  場合、各企業はどのような対応で事業を継続し、またスタッフをサポー
  トすることで難局を乗り切ったのでしょうか。

 ◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
  2001年9月11日の同時多発テロの際には、貿易センタービル周辺の
  オフィスでは、交通網が遮断されたという物理的な問題や、3ヶ月間も
  続いた火災による煤煙やアスベスト等の被害、さらには事件のストレス
  という精神的な影響に配慮して、オフィスをニューヨークから対岸の
  ニュージャージー州に移すことで事業の継続とスタッフのケアを図る企
  業が増えました。また、スタッフのサポートという側面では、カウンセ
  ラーを常駐させる企業や観葉植物を数多く配置したり、リラックスでき
  る音楽を職場に流す、照明の明るさをアップさせる等、少しでもスタッ
  フの精神的なストレスを和らげて、業務に専念できる環境を整備しよう
  という取り組みは各所で行われました。

  あれから約10年。当時はインターネットもダイヤルアップ式で、電話回
  線がパンクすればスタッフや顧客、本社などとのコミュニケーションが
  断絶するだけでなく、ネットからの情報も入手できないという状況でし
  た。しかし、この間の情報インフラの目覚しい進歩によって、現在では、
  一部の職種においては自宅でもオフィス同様に情報が得られ、またコミ
  ュニケーションも取れることから、こうした場合にも無理に出社する必
  要がなくなりました。特にテロのような人的災害は、いつ、どこで起こ
  るかは分からないものの、「人が集まる場所・エリア」が標的になる
  ケースが大半です。その意味では、事態が収束するまでは、一旦、各ス
  タッフが自宅で仕事をするという方法も、リスク分散という観点からは
  ありだと思います。

 ◇編集部◇
  最後に、今回の震災のような予期せぬ大規模災害に直面した際に、現地
  日系企業の経営者あるいは人事担当者として求められる心構え、加えて
  普段からどのように備えておくべきだとお考えですか。

 ◆人事コンサルタント(中国)◆
  私個人の考えとしましては、現地法人の責任者であるならば、本社での
  役職や役割は抜きにして、最後まで現地の責任者としての行動が求めら
  れると思います。それは、現地での役割に基づいて行動しなければ、
  現地スタッフの信頼は決して得られないと考えるからです。

  例えば、今回の日本のような大規模災害が発生した場合、仮に中国現地
  法人の総経理という立場にある人間であれば、最後に現場を去る覚悟を
  持っていなければならない、個人的には持っておこうと思っています。
  船長が最後に船を下りるように、会社であれば最後に現場を去る。それ
  までは現地スタッフとその家族の安全を最優先に行動することこそ、責
  任者としてのあるべき姿だと思っています。

  一方で、こうした理念的なものとは別に現実的な備えも必要です。例え
  ば、最低3ヶ月間は現金が回るように貯蓄をしておくことや、在宅勤務
  でも事業が回せるよう最低限の必要文書を電子化しておくこと、さらに
  ASP(アプリケーションっプロバイダサービス)やクラウドサービスを
  利用することで、最低限の事業が継続できる目安をつけておくことも意
  識しています。

  とはいえ、海外で大災害に見舞われた場合、当面の生活の確保に加えて、
  家族の安全確保や帰国の手配、手続き等も必要になってきます。事態が
  事態ですから、そうした状況では、ひょっとすると日本のような礼儀正
  しい対応はなかなか期待できないかも知れません。その意味では、ある
  種の「自力で生きていく」ことに対する覚悟と、その準備をしておくこ
  とも重要かもしれません。

  ただ、現実問題として生活拠点とは別の場所に食料等を備蓄しておくの
  も簡単な話ではありません。もちろん不確定なリスクに対する備えです
  から、明確な答えもありません。突き詰めると、それこそきりがありま
  せんから、考えすぎないように、でも出来る範囲で準備は進めておくと
  いうスタンスが必要なのではないでしょうか。

 ◆人事コンサルタント(アメリカ)◆
  経営者や人事担当者として求められる心構えとしては中国サイドと全く
  同様です。現地法人の責任者は、最後まで責任者としての振る舞いなし
  にスタッフからの信頼は決して得られません。そして、その中で最優先
  に考えるべき事項は、やはり社員の安全と健康の確保。安全が確保でき
  た段階で、事業を継続するという次のステップに必要な通信・情報イン
  フラの整備や指示命令系統の整備・徹底に取り組むことになろうかと思
  います。

  ただ、本社サイドとしては、当然、危険地域にいる駐在員の帰任や避難
  命令を出すでしょう。むしろ、本社の人事部にも社員の安全を第一に考
  えるというミッションがあるわけですから、彼らにとってそれは当たり
  前の対応です。退去命令を出さずに現地駐在員が被害に遭えば、本社人
  事部は責任を問われますから。ただ、そこで現地責任者が逃げ出してし
  まえば、間違いなく、事態収束後の社内の士気は上がらず、結束もうま
  く図れず、組織としては機能しづらい状況になることが想定されます。

  とは言うものの、今回の日本の震災では外資系企業の駐在員がどんどん
  帰国したというニュースが流れていましたし、逆に2001年の同時多発テ
  ロの時は、日本人駐在員がどんどん日本に帰国していました。そう考え
  ると、理念的なものと現実は全くの別物なのかもしれません。

  であるならば、考えるべきは、やはりスタッフが別々の場所にいても事
  業として継続可能な仕組みをできる範囲で準備しておくことだったり、
  有事の際の身の振り方をスタッフ間で予め共有し、お互いが理解し合う
  等の事前の取り組みが大切になってくるのではないでしょうか。そして、
  規模の大小に関わらず、この「事前の取り組み」こそが、リスクに対す
  る備えに他ならないのではないかと思います。

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 【3】人事・労務ご担当者必見。セミナー・イベント情報
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 日々、人事・労務問題で頭を抱えているご担当者様に朗報。
 クイックグループが開催するセミナー・イベント情報をご紹介。
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 ■5月17日(火) 15:00~17:30

  中小企業のための『人事制度と人材育成』 セミナー

  ◇会場  株式会社クイック 興和ビルセミナールーム
       (東京都港区赤坂1-9-20 第16興和ビル北館8階)
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  ◇定員  10社20名

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 ■5月18日(水) 15:00~17:30

  組織を活性化するコミュニケーション研修
  『Smart Communication』 無料体験セミナー

  ◇会場  株式会社クイック 興和ビルセミナールーム
       (東京都港区赤坂1-9-20 第16興和ビル北館8階)
  ◇参加料 無料
  ◇対象  経営者、マネジメント職の方、人材育成、人材採用ご担当者
  ◇定員  20名 ※1企業2名様まで ※定員になり次第締切

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  『日本の人事部』主催イベント「HRカンファレンス2011」

  ◇会場  秋葉原UDX UDXカンファレンス
  ◇参加料 無料(事前予約制)
  ◇主 催:株式会社アイ・キュー 『日本の人事部』
  ◇後 援:厚生労働省

  詳細・お申込はこちら⇒http://jinjibu.jp/hrc07/


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